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2011年4月4日 晴天
3月11日に発生した東日本大震災の影響で
仕事がなくなったので
いまのうちに四国八十八ヶ所の残りを
平らげてしまおうと思い立った
いそいそと車中泊の準備をして出かける
12時05分 発 |
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国道2号線を尾道に向かう
わたしもいつまでもヒマというわけではないので
今回でなんとかすべて周ってしまいたい
しかし
それが容易なことではないことも
前回の経験から承知しているつもりだ
目標は一日10寺
残り56寺+高野山
単純計算でも6〜7日はかかる
お寺の納経所が開いているのは
午前7時から午後5時までなので
四時半を過ぎたら宿営地探しをするようにしよう |
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尾道バイパスからしまなみ海道方面へ
前回今治で打ち止めだったので
今回はしまなみ海道から気軽に四国入りできる
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料金所を通過してしまなみ海道へ |
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瀬戸内海の島々を繋いだ
いくつもの橋を渡っていく
すでに見慣れた光景だが
不思議と飽きることは無い
今日は少々風が強いようだ |
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13時18分
大浜パーキングエリア 着
少し休憩をとる
道路地図とは別に
お遍路専門の案内地図があるので探したが
ここには売っていなかった
13時30分 発 |
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生口橋(いくちばし)
しまなみ海道の中で一番お気に入りの斜張橋
橋を渡るというより
アーチをくぐって行くといった感覚がおもしろい |
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四国に上陸 |
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14時05分
今治インターチェンジ 到着
通行料 2660円
まずは前回冬季通行止めで行けなかった
60番横峰寺へと向かう |
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道端の畑に菜の花が咲き乱れてきれいだ
四国はちょうど今頃が花のシーズンだ
特に桜は満開の時期なので期待できそうだ |
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遠くに四国の最高峰
石鎚山(1982m)が見えてきた
目標の横峰寺は石鎚山のそばにある
今回は予算が少ないので
極力節約しなければならない
ナビの設定を「一般道優先」にする
・・・これがとんでもない結果に導くことになる |
第六十番霊場 横峰寺 |
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県道147号線で山間部に入っていく
道はどんどん狭くなる
お遍路のシーズンなのに
交通量は極めて少ない |
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いよいよ登山ルートに入ったようだ
どんどん山深くなっていく
目的地まであと3.2km
この道路幅のままで山頂まで
上がることができれば
楽なんだけどな・・・・
たしか有料道路のはずだが
料金所が見当たらないな・・・
山頂で払うのかな?
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えっ?!
通行止め?!
・・・そんなはずはないのだが
するとナビが
「目的地に到着しました」と告げる
ちょっと待て
どういうこと・・・? |
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改めてルートを確認して気がついた
横峰寺は山頂近くにあり
以前は歩いて上がるしか方法が無かった
近年自動車道が開通して
現在はお寺の近くまでクルマで行けるようになった
その道は有料道路になっている
わたしがナビの設定を「一般道優先」にしたため
ナビはその有料道路を除外して
「無料で登れるルート」を選択していた
ここはかつての
古いへんろ道の入り口だったのだ
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通行止めから先は行き止まりなので
横峰寺にはたどり着けない
自動車道は山の反対側にある
これから向かうと
閉鎖の時間に間に合わない可能性がある
それに通行料が1800円とかなり高い・・・
それならばと
歩いて登る決断をする
14時55分
空き地にクルマを停め登山開始
横峰寺まで2.2km
平地だと楽勝で歩ける距離だから
なんとかなるかもしれない・・・
そう思ったのが浅はかだったと
後で思い知ることになる・・・ |
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最初は川沿いの遊歩道といった感じだった
このあたりはまだトレッキング気分 |
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木の橋があったりしてなかなかおもしろい
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300mほど進むと
四国霊場一の最難所が正体を現し始めた
とんでもない荒れ道の急勾配で
山の急斜面をうねうねと登っていく
階段状になっているところは段差が大きく
中には腰の高さまであるところもある
木の根は露出し 石はゴロゴロ・・・
これを文字通り
よじ登っていかなければならないのだ
{「これがホントに正規のルートなのか?」と
何度も疑ったが
ちゃんと道しるべが立っている・・・・
納経所の終了時間も迫っている
気は焦るが道は険しい・・・・
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ついには
こんなところを登らされることに・・・
山の斜面ではない
これでも「道」なのだ!!
心臓は早鐘を打ち
咳き込むほどあえぎながら
休み休みなんとかよじ登っていく・・・
こんなに苦しい思いをしたのは
自衛隊時代にフルマラソンを
走らされて以来のことだ
森の中はひんやりとしていて
汗をかいた体が冷えてしまい体力を奪われる |
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あと0.9kmというところで
ついにへたりこんでしまった
これはヤバい
動けなくなるかもしれない・・・
・・・そのとき
不思議なことが起こった
呼吸が乱れて苦しいのに
足だけが自然に動いて
まるで誰かに押されるように
一歩一歩前に進み始めたのだ
左右の足をそれぞれひとりずつ
そして腰のあたりをひとり
誰かが押してくれている・・・ |
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この山道は「お遍路ころがし」と呼ばれ
古来ここで多くのお遍路さんが命を落としている
あまりヘンなことは言いたくないが
その人たちが
おマヌケなにわか遍路を助けてくれた・・・
そうとしか思えないような出来事だった
おかげでついに
山門が見える位置まで登ってこれた
富士山に登ったときのほうが楽だったぞ・・・・ |
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ついにたどり着いた
60番札所 横峰寺
四国霊場では3番目の高地にある
あの役行者が開いた聖地だ
到着するとちょうど
小型の観光バスで自動車道を
悠々と登ってきたであろう
巡礼ツアーのお遍路さんが
これまた悠々と帰っていくところだった |
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こちらが本堂
神社風の権現作りの建物
さっそく灯明を灯し
線香を上げて
納め札を納札入に納めて読経する
息が切れているので読経中何度もむせかえる |
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ちなみにこちらが納め札
右側に日付と住所
左側に願い事と名前と年齢を書いて納める
本堂と大師堂に一枚ずつ納めるため
一寺で最低でも二枚必要になる
88寺×2=176枚
本堂と大師堂以外にも納札入があるお堂があるのでそれらにも納めようとすると
200枚以上は書かなければならない計算になる
←これはあくまで書き方のサンプル
実際のはちゃんとまじめに書いてますw
このまま納めたら即効バチがあたるだろう・・・ |
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こちらが大師堂
ここのお大師さん像は星供大師と呼ばれていて
右手に剣 左手に巻物を持っている |
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お寺の情報
第60番札所 石鉄山 福智院 横峰寺
読み いつづちさん ふくちいん よこみねじ
宗派 真言宗御室派
本尊 大日如来(伝弘法大師作)
開基 役行者小角
創建 白雉2年
どうでしょう的情報 ロケ地
T 冬季通行止め 未到達
U 本堂前
V 冬季通行止め 未到達
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納経所に行くと
息の荒いわたしを見てお坊さんが
「・・・歩いて登られたんですか!」 と驚いていた
最近は徒歩の遍路も自動車道を使うため
古いへんろ道は歩き遍路のプロか
よほどの物好きでないと上がってこないらしい
宿坊に泊まることを勧められたが
下にクルマがあるので辞退した
「あそこの手水場の水は飲めますから・・」と
ずいぶん気を遣ってくれた
それだけ死にそうな顔をしていたのかもしれない |
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再びへんろ道を下る
下りは楽・・・と思ったが
段差が大きいのでひとつひとつ
飛び降りるような形になり
そのたびに衝撃がひざに襲いかかる
靴も普通のタウンシューズなので
時々足を踏み外しそうになるが
まだ登りで助けてくれた人たちがいるらしく
どんなに姿勢を崩しても
転ぶようなことはなかった・・・
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時々止まって段差に腰をかけて休む
見回すと
そこは深い森の中・・・
こうしてみると
なるほど神々しい空間だ
くたくたなのに
妙に爽やかな気分になった・・・ |
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ようやくトッポちゃんが見えるところまで
降りてきた
ひざが軽く痙攣している
「ひざが笑う」という状態を
ひさしぶりに味わった・・・・
17時00分 駐車場 帰着
ひとりで遍路をしていると
必ず一度は不思議な体験をすると
聞かされていた
それが嘘ではないことを
身を持って体験することが出来た
なんだかとっても得した気分w |
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駐車場近くにきれいな水が出ていたので
ペットボトルに入れて持ち帰ることにする
一口飲んでみた
水ってこんなにうまかったんだ・・・
「沁み入る」とはこういうことだろう
17時05分 発
のっけから辛い体験だったが
この「横峰さんトレーニング」が
この後の数々の難所越えに
大きく役立つことになる |
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「あわよくばもう2〜3寺」
などと出発前には考えていたが
もう無理!!
・・・というわけで
宿営地を探す
ひざが笑っているので微妙なクラッチ操作が
できない・・・
次は前回の続きの
55番南光坊からになるので今治市に戻る |
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今治に戻った頃には
すっかり夕方の光景になっていた
どこかに道の駅はないかな?
・・・・おっ!
「今治湯ノ浦温泉」ってのがあるじゃないか!
初日から温泉付きの道の駅に当たるなんて
ツイてる〜!
・・・と
思ったのだが・・・ |
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17時39分
道の駅 今治湯ノ浦温泉 着 |
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・・・そこには
温泉スタンドがあるだけで入浴施設はなかった
うにゅ〜
おまけにレストランも17時でオーダーストップ
ぜんぜんツイてねぇじゃん・・・
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近くにコンビニもなさそうなので
家から持ってきた食パンを食って夕食にする
・・・ジャムくらい持ってくればよかったな
疲れたのでもう寝る!
車中泊の準備〜
今回はいろいろと新しい車中泊グッズの
実験をしてみる
こちらは
試験採用のフロントガラスの遮光装置
冬に霜が降りるのを防ぐカバーだが
これがなかなか良い感じで遮光する
場合によっては車内に張ることも可能
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こちらも今回試験採用の低反発座布団
四枚用意した
さぞや寝心地がいいだろうと思いきや
少々問題があるようだ
低反発のため
ちゃんと「土台」を作って平らにしてから敷かないと
体重でどんどん沈み込んでしまい
かえってヘンな姿勢なってしまうということだ
何度も位置を組み替えてやっと眠れる体制になる
たぶん21時ごろ就寝・・・・ |