2日目 2013年5月12日 
 
  04時50分 起床 

今朝の車窓
どうやら天気はよさそうだ

それにしても
静かな道の駅だった
聞こえるのはカエルの声だけで

トラックも入ってこないし
前の道も夜中はほとんど車が通らない

車中泊でこんなにぐっすり眠ったのは初めてだ

車中泊にもってこいの道の駅 北浦街道 豊北

おすすめです


ただし
買い物はお早めに
  ただいまの車内温度14.6℃
就寝時から10℃も下がった

屋根があるだけで外で寝ているのとかわらないので
シュラフは必需品だ 
  朝焼けをバックに
風力発電塔の羽根がゆっくりと回る 


風の谷のナウシカの世界のような幻想的な光景だ
  EV車の充電ステーションも完備

近年
道の駅に順次設置されているようで
古い道の駅でも見かけることが多くなった
  道の駅の隅っこで
テントを張って睡眠をとるツーリンクライダー

かつての自分の姿だ 
「富山の薬売り」とあだ名されるほどの荷物を
オフロードバイクにくくりつけて旅をしていた・・・

バイクで旅をするのは見た目以上に大変だ
持ち物はすべでバイクに縛り付けなければならないし
雨風や暑さ寒さもすべて生身で受けることになる

それを考えると
トッポでの旅はとても楽なものだ


  日の出を迎える

05時37分 発
  国道191号線から左折して
県道275号線へ


フロントガラスに水滴がいっぱいついているのは
車内の湿気による結露の名残り

ふき取るとしずくがボタボタと垂れ落ちるほど濡れているので
気をつけないとナビなどの電子機器にかかってしまう

吸水性の高いクロスで吸い取る必要があるかもしれない
角島大橋外観
近くのリゾートの入り口から撮影

長い橋だなぁ〜
キーウェストみたい
   それでは渡ってみよう
最初はゆるやかな下り坂
  途中
島の傍を通過するころに水平になる
  そこから少し登る
船を通行させるために桁が高くなっているようだ

そこからまたゆるい下り坂のまま角島に上陸
   さすがに山口県きっての観光地だけあって
島の道はきれいに整備されている

朝は地元のお年寄りが横断することもあるので
スピードの出し過ぎには注意しよう
  06時00分
角島 夢崎公園 駐車場 着
  角島夢崎灯台

初灯 明治19年3月1日(石油灯にて)
塔高 29.62m
光達距離 18.5海里

日本で6ヶ所しかない第一等フレネル式レンズを装備
シックなカラーリングの灯台だなと思ったら
総御影石作りだそうだ


日本の灯台50選にも選ばれている
  朝早いので
灯台の入場はできなかった

この料金所も
元は無線とレーダーが設置されていた古い建物
   灯台の前は公園になっている
  テラスから望む響灘
  石がごろごろした海岸の向こうに鳥居が見える
あそこまで行ってみよう
  これはむかしの
漁師の網小屋らしい

強風に耐えるローダウンフォルム
  ここが一番端っこのようだ

風も弱くおだやかな海

やわらかな潮騒が心地よい
  わたしは自宅でカタツムリを飼っている
カタツムリは殻を作るために
カルシウムを摂取する生き物だ

特に貝殻は好物なので
拾ったサザエの殻を
カタツムリへのおみやげにした
  「名も知ら〜ぬ 遠き島より〜♪

椰子の実ならロマンチックだが
流れ寄るのはハングルの書かれたゴミばかり・・・

「名も知らぬ」どころか
どこから来たか一目瞭然だ

他にも漁具(特に浮き玉)やプラスチックのかご
ポリタンクなども流れてくるが
意外に多いのは使用済みのイチジク浣腸の容器だ


極東地域はそんなに便秘の人が多いのか?

  鳥居のある場所には
小さな龍神様が祀られていた

残りの旅の無事を祈る
  回廊を巡って灯台に戻る

誰もいなくて清々しいなぁ〜

わたしは人混みが苦手なので旅も必然的に
人のいない方へ 人のいない時間に・・・と
流れていってしまう

別に人間嫌いというわけではない
みんなでワイワイやるのもいいが
ひとりの時間も大切にしたい・・・
  地図では「夢ヶ崎」になっているが
このあたりにある看板には揃って「夢崎」と書いてある

どっちが正しいんだろう?
竜飛岬に行った時も
「竜飛」か「龍飛」か
どっちなんだーっ!・・・と言っていた気がする

こういう細かいことがとても気になる広島じゃけんであった・・・


06時21分 発
  次はいよいよ最終目的地
本州最西北端 川尻岬だ

ここに到達すると
現在自動車で行ける
「日本の端っこ」すべてを制覇したことになる

「本州最南南西端」とかはもうやりませんよ

キリがないから・・・・

朝食を摂っていなかったので
昨夜の鶏の唐揚げの残りをつまみながら運転

・・・・うう
朝から唐揚げは少々ヘビーだった
  日本海は奇岩が多い
雨や波の浸食を受けやすい玄武岩が多いためらしい

国道191号線から左折して県道66号線へ
さらに県道356号線
農免道路を通って川尻岬へと向かう
  07時07分
川尻岬 駐車場 着


ここからは
岬の様子を見ることが出来ない
   さて
どんなところなんだろう・・・


入り口には立派な看板が設置されている

横にある「マムシ注意」が気になるな
  歩いて岬に向かう

おお!
なんかすごい景色・・・


ひさしぶりの断崖絶壁か?
  風の音が響いてくる

向こうの山が半島の端っこになるのか


北海道の積丹岬を思い出す


  先端まで行くと待望の川尻岬のモニュメント発見


南からの風が強くて吹き飛ばされそうになる
ひさしぶりの岬の風の洗礼


本州最西北端って書いてないなぁ・・・

左にある石碑には
「航路標識灯竿」と刻まれている

  モニュメントの裏に
わたしが見たかった記述がしっかりと書かれていた

こっちを表にしてほしいくらいだ 

こいつがあるとないとでは
到着した時のテンションが違うのだ

端っこの自治体の方
ぜひ端っこモニュメントの設置をお願いします
  山の頂から
灯台がチラリと見えている


さすがにあそこまでは行けないかな・・・
   ・・・おや?

崖の中腹にフェンスのようなものが見える


まさか
道があるのか?

  よく見るとたしかに道が通じてるようだ

どこから降りるんだろ?
  ・・・あった! 

これは行くしかあるまい

灯台のメンテナンス用の道だと思うが
もしかしたら海岸まで降りて
ギリギリ端っこまで行けるかもしれない
  細い道をソロソロと進む
風が強い・・・


落ちたら確実にお星様だ


おまけにクマンバチがブンブン羽音を立てて飛んでくる

手を出さなければ刺されることは無いが
でっかいのでちょっと怖い・・・・
  ふと振り返ると
これまたすごい絶景
  さっきのモニュメントは
あんなところに建っているのか・・・
  モニュメントから見たフェンスのところまで
たどり着いた

「灯台→」と
書かれた看板がある


灯台は岬の先端ではなく
この山の上にあるらしい
これはモーレツにイヤな予感が・・・・

鬱蒼とした林の中に入ると
目の前に現れたのは
ほぼ崖に近い階段!!

出たぁ〜!!
やっぱり出たぁぁぁ!!

写真ではただの階段に見えるのが悔しい

一段一段
息を切らせながらよじ登る・・・
  やっと登りきったと思ったら
左にもっと急な階段が出現!

これはなんの修行よ? 


ここまで来たら登りきるしかない

ぜーぜー・・・

おお
見えた!

灯台が見えたぞ!!
  長門川尻岬灯台

初灯 昭和4年11月30日
光達距離 5.5海里


灯台以外は何もなく
見晴らしのよい場所もないので早々に撤退する
  階段を降りて左を見ると
下の海岸に繋がっていそうな小道があった 


海岸を周って端っこまで行けるかな?
  道らしきものを降りるとゴツゴツとした岩場が広がる

岩を踏み越え
よじ登りながら進む
岩は所々切り立った部分があるので慎重に足場を選ぶ

・・・ちょっとした冒険になってきたぞ

   灯台の正面まで来ると
入り江になっていて
垂直に近い崖になっていた

ここまでだな

でも
ほぼ端っこまで来れたぞ
  あそこが端っこらしい

最西北端で磯釣りを楽しむ人がいる

反対側にも道があるのかな?

このあたりは磯釣りの好ポイントとして有名らしい

潮風に吹かれながらぼ〜っと眺めていると
いきなり竿が大きくしなった

ヒット ヒット!

おおお!!
何が釣れるんだ?!
  釣り人と魚の死闘が繰り広げられる
獲物はかなり大きいようだ

コンパクトカメラのズームでは寄りきれないので
持っていた双眼鏡にカメラを押し付けて
無理やりズームアップしてみる

激闘10分
ようやく獲物が姿を現した

・・・なんと
80cmはゆうに越えてる巨大な鯛が釣りあがった!
 
ふたり掛かりで引き上げられる鯛
タモ網から巨大なしっぽがはみ出していた

ぱちぱちぱち

いいもん見せてもらいました 
  目を移すと
光の海の中に船がゆったりと浮かんでいる・・・

幻想的な光景にしばし見入ってしまう 
  岩場を乗り越え
灯台の上り口まで戻る

また膝が笑ってる・・・

靴も幅広のタウンシューズだったから
歩き辛かった・・・・

細い道を戻りながら反対側を見ると
こちらも岬らしい絶景が広がっていた

ここは「ハンサムな端っこ」だ

  思いがけず冒険になってしまったが
思いがけず美しい場所だった

ここなら広島から日帰りが可能だから
ぜひまた訪れたい

07時56分 発
  さて
これで目標はすべてクリアした

「端っこの旅」はいよいよ北海道最西端 尾花岬を
残すのみとなった

もしかしたら
これで完結かもしれない

後は帰るだけだが
その前に気になるスポットが近くにあるので
寄ってみることにする 
  08時08分
楊貴妃の里 駐車場 着

山口県に楊貴妃の公園があるのは
なんとも不思議な感じだが・・・
  こちらは公園内にそびえ立つ楊貴妃像 

公園には
紫禁城風の広場や兵馬俑の俑が飾られた
売店などがある


   わたしが見たかったのはこれだ

楊貴妃の墓ですぜ だんな!
  こちらが楊貴妃の墓

たしかに日本の墓とは違う風水的配列

一体なぜ楊貴妃の墓といわれているのか
さっぱりわからない

むかし
中国から流れ着いた謎の美女の墓とか
そういう感じだろうか?


それとも
もっと呪術的なものなのか?


どんどん想像が膨らむ
  子供の頃
ミステリー雑誌で存在を知ったが
親に連れて行けというのも気が引けるし
友人に行こうというのもヘンに思われそうなので
自分で来る機会を虎視眈々とうかがっていたのだ

これまた思いがけず
子供の頃の夢を果たした

08時19分 発
  最短の帰路は国道2号線まで南下してそのまま
東広島に帰るルートだが・・・

わたしは2号線がキライです!


大きな都市を何ヶ所も通るので
この旅で例えると福岡が何度も襲ってくるような
ものなのだ



いうわけで
2号線を避けたいがために
猛烈な回り道をすることにした


このまま
日本海に沿って東に向かい
三瓶山のそばを抜けて赤名峠を越え
三次市に抜けて国道375号線で東広島に
戻ることにした


200kmくらい遠回りだ

それほどに2号線がキライなのかというと
そうでもなく
ただ遠回りしたいだけかも・・・
  長門市内でSS給油
走行距離386.5km
23.0リットル給油
燃費 16.80km/リットル 


まずまずの燃費だ
走行距離が12万kmを越えたトッポちゃんだが
現在とても調子が良い
  今回はデジカメの「ピン甘」に悩まされた・・・・
やはり安物でも光学ズームは必要なようだ
画像サイズも小さめに設定したので
画質もいまひとつ・・・・

こんなにきれいな景色なのにね・・・・・

国道191号線から国道9号線へ
ひたすら東を目指す 


長門路はストレスフリー
交通量も少なく
道も広々
景色も最高!!

  09時39分
道の駅 阿武 着


ここは道の駅の発祥の地だそうだ

最古の道の駅のせいか
設備はイマイチ・・・

09時47分 発
  ・・・そうだ!
ついでにあそこに寄っていこう

そこは広島から近いので
絶好の日帰り観光コースになっている
わたしも年に1〜2回は行っている

実のところ
ゴールデンウィークに友人とふらっと行ってきた
ばかりだったりする

しかし
近いがゆえにこの旅日記に
載せることができずにいた

この機会に「到達」して
日本の端っこ到達マップに★印をつけよう


  わたしの前を
キャンピングカーがヨロヨロと走っている

「そんなに旅好きならキャンピングカーを買えば良いのに」と
よく人から言われるが
わたしが車中泊で必要とするものは寝床だけで
ギャレーもトイレもシャワーも不要なので
わざわざ機動性に欠ける特装車に乗る必要は無い

基本一人旅だしね

・・・・後から見ると
やけにタイヤが細いが大丈夫なのか?
  しまねアクアス通過
サッカー選手の息子の声を聞きたがっている
「島根のおじさま」こと
シロイルカがいる水族館だ

「島根のおじさま」効果で
ずいぶん来場者が増えたらしいぞ
  県道29号線に乗り
最後の目的地 日御崎へ向かう

出雲大社から7kmのところにある
島根県の有名観光スポットだ

バイク時代をあわせると
もう20回は確実に来ている

それでもまた行きたくなるのは
魅力的な場所だからだ
  13時19分
日御崎 駐車場 着


塔高の高い灯台なので駐車場から見える


  日曜日だけあって
観光客がいっぱいだ

出雲大社の駐車場が満車で入れなかった
人たちも大勢こちらに流れてくる
  こちらが出雲日御崎灯台

初灯 明治36年4月1日
塔高 43.65m
光達距離 21海里
灯火標高 63.3m

真っ白で立派な灯台
ここも日本で6ヶ所しかない第一等フレネル式レンズを装備
日本の灯台50選だけでなく
世界灯台100選にも選ばれている
  見慣れているとはいえ
風光明媚な場所であることに間違いはない

この景色が見たくなって
またふらっとやってくるだろう


日帰りで来れる場所にこんなところがあることを
感謝するべきかもしれないなぁ〜
  日御崎に来たら必ず立ち寄るお店がある

おみやげもの屋さん街の一番隅っこにある
おばあちゃんの店だ
  おばあちゃんは85才
ここで民宿をやりながら店先で
イカ焼きなどを売っている
いつも
「お茶飲んでいくかい?}と
気を遣ってくれる
若い頃呉市の海軍工廠で働いていたそうだ
「広島大好き」というおばあちゃん
理由は「暖かいから」らしい
日本海の寒風に吹きさらしのこの場所は
温暖な土地でのうのうと暮らしている者には
わからない苦労があるにちがいない

「広島に行きたかったけど
イカ焼きがやめられんでね」と笑うおばあちゃん
せめていつまでも元気でいてもらいたいものだ

また来るよ おばあちゃん


13時47分 発
  ついでに行ったことが無かった
日御崎神社に立ち寄ってみる

13時48分
日御崎神社駐車場 着


今日は団体様がバスを連ねてお参りに来ているようだ
 
創建は安寧天皇13年・・・といってもピンとこないが
西暦にすると紀元前535年
神武天皇から三代目に当たり
時代区分だと弥生時代
魏志倭人伝に邪馬台国の卑弥呼が登場するのは
これから約780年後というから
気が遠くなるくらい大昔だ・・・・

・・・・さすがに神話の国の神社だ

社殿は権現造で
山門の正面にある下の本社に
天照大神(アマテラスオオミカミ)
向かって左手の高台にある上の本社に
神素盞嗚尊(スサノオノミコト)が
祀られている

「天岩戸」と「ヤマタノオロチ伝説」で有名だ

さほど境内は広くないが
朱で囲まれた神域は独特の雰囲気がある

14時00分 発
  到達した端っこには
到達マップに載せる際に
「本州最北端」とかなんらかの「称号」を与えている
しかし困ったことに
日御崎は島根半島の最西端ではない
最西端は日御崎に向かう道の途中にある
追石鼻というところだ

・・・まあいいか
島根半島ほぼ最西端 日御崎でキマリだ!


県道29号線から国道431号線へ
さらに国道9号線に乗り
神西湖の西端を左折して県道39号線へ


さらに進んで国道184号線を南下
赤名峠の手前で国道54号線に合流
県境を越えて三次市へ
三次市から国道375号線で東広島へと帰り着く
  帰宅間際
近所のホームセンターSSで給油
走行距離393.5km
18.6リットル給油
燃費は・・・・
えええっ?!
21.15km/リットルぅぅ?!
今までどんなにエコ走行しても
18km/リットルを越えたことはなかった
393.5kmが373.5kmの見間違いだとしても
それでも20km/リットルを越えている
新記録だ・・・・・
なにかの間違いかと計算し直したり
ガソリンの量をと調べ直したりしたが
間違いないようだ・・・・

最後の最後に
とんでもないサプライズを喰らいつつ
旅は終わるのであった・・・・

17時15分 自宅駐車場 着


以上
「日本の斜め端っこの旅」でした

おしまい
総走行距離 1515.7km
使用燃料 84.74リットル(レギュラー)
予算 25000円(道路通行料・燃料代含む)