一日目 戦慄の酷道429号線で舞鶴へ
2013.09.09
 
 ・・・ついにこの日がやってきた

長い間くすぶっていた
「端っこの旅」の決着をつけるために
わたしとトッポちゃんの最後の旅が始まるのだ
最初の「無謀な旅」以来の緊張感と
ワクワク感でわたしの体は満たされている

人間もクルマも気合十分!

12:00 自宅駐車場 発

いざ!出陣!!

・・・おっと
ナビセットしてなかったわ・・・

こうして見事に勢いは削げるのであった・・・
  今回のルートは
まずフェリーで一気に北海道へ上陸
南下して北海道最西端尾花岬を目指す
その後
南下して函館で「やり残した観光」を片付けて
フェリーで津軽海峡を渡る

ここからは「機会がないと行けそうにない端っこ」を
辿りつつ南下していく」
まず
青森港から日本海側の秋田県の男鹿半島へ
そして東北を横断して宮城県の牡鹿半島
南下して千葉県の犬吠埼
さらに南下して千葉県の野島崎
フェリーで東京湾を横断して箱根を越えて
静岡県の御前崎
西に向かい愛知県の伊良湖岬へ

そこからまたフェリーで三重県の鳥羽に渡り
最後に伊勢神宮に参拝して
高速道路で帰宅する予定だ


  舞鶴に行く道は
いつもなら高速道路を繋いで行くか
日本海側に出て国道9号線をひたすら
東に向かうルートをとるのだが
どうせなら「通ったことのない道」で行ってみようと
思い立った

地図を眺め回していると
倉敷市から中国地方を斜めに横断するかたちで
舞鶴の近くの朝来(あさご)市まで伸びている
国道429号線を見つけた

フェリーの出港は0時5分
時間はたっぷりある

・・・しかし
この思いつきのせいで
またもや初日からハードランになろうとは
神ならぬ身の知る由も無し・・・

  国道2号線を東へと進む 

今回は宿に泊まらずオール車中泊になる
なぜなら
お金が無いから。

突然の旅立ちだったので
資金を用意するヒマも余裕も無かったのよ・・・
なので
ルートもなるべく一般道を辿るつもりだが
時間的切迫や体力的な問題があるときは
躊躇なく高速道路を使う方針だ

その際もなるべく深夜割引とかにひっかかかる
時間帯で・・・

問題は
風呂に入れるかどうか・・・・
なるべく機会を見つけて入るようにしたい

  13:00 尾道市 通過

実は他にもいろいろと問題がある

まずは
肝心の最終目標地点 北海道最西端 尾花岬だ

道路が完成したとはいえ
尾花岬そのものに行けるわけではない
その近くまで行けるというだけなのだ
なので
どういうかたちで「到達した」と納得するか・・・なのだ
「端っこの旅」の到達ルールである
「端っこから2km以内」に入ることで「到達」とするべきか
それとも
あらゆる手段でできるだけ接近するべきか・・・・

こればっかりは行ってみないとなんとも言えない状況だ
  もうひとつ
首都圏近郊は道の駅が極端に少ないということだ
東京都に至ってはひとつもない
茨城県や千葉県にはあるが
神奈川県は箱根まで行かないとない

この空白地帯が車中泊にどんな影響を与えるのか・・・

また
道の駅があっても
トラックの集団に占領されてたりしたら
とても寝られる環境ではない

いざとなったら
そのあたりのコンビニの駐車場とか道端で
「ここをキャンプ地とする!」
と言わなければならないかもしれない
  14:31
分岐点に到達

ここからいよいよ
未知のルートである国道429号線に乗る


  最初はなんでもない市街地からスタート

しかし
かなり山奥を通るルートなので
穏やかなのは今のうちかもしれないな・・・
  倉敷駅の近くを通過

青カンに「吉備路」って書いてある


「○○街道」とか
名前がついてる道ってなんかいいよね・・・
  信号待ちの合間に
ショーウインドゥに写るトッポちゃんを撮影する 
   突然事故現場に遭遇

4台がからむ追突事故だった

「明日はわが身」と気を引き締める
   途中
セブンイレブン 倉敷西坂店に立ち寄り
コーヒー180円と
スポーツドリンクを買い込む


景色はどんどんのどかになっていく

9月の上旬なのに
もう秋空っぽくなってきたなぁ〜
  おっ!

ガソリンタンドの屋根の上に
巨大なタヌキ?! 


たくさんのロープで固定されて
まるでガリバー状態
  道はますますのどかな田園地帯へと入っていく
実りの秋だねぇ〜
もう稲刈り寸前というところかな

時々他の国道と合流したり
また別れたりしながら
国道429号線は続く
  最初の峠に差し掛かる

現代の燃費最優先の軽自動車では
きつい峠だろう
しかし
燃費度外視・パワー最優先で設計された
エコからは程遠いトッポBJは
少々の峠道程度では小揺るぎもしない

・・・・その分しっかり燃料を食うが

とにかく
ずっとこのくらいの道幅であれば
楽に国道9号線まで出られるだろう
  ・・・・気のせいかな?

どんどん「のどか」を通り過ぎて
すっごい「山奥」になっていくような・・・

いやいや
「国道」なんだから
県道みたいにひどいことにはならないだろう!
・・・そう思った瞬間
脳裏に
「酷道」という言葉がよぎる

せっかく知らない道を通っているのだから
景色を素直に楽しもう

日本昔ばなしに出てくるような
山の中腹の民家がなんともステキ

  生野ダムの建設で生まれた銀山湖のそばを通過

この付近では国道429号線が工事中なので
少々狭い対岸の迂回路を通ることになる

建設中の橋は8割方完成しているようだ
  津山市に入る

いつも高速道路で通過するだけの街
一般道で入ると新鮮だなぁ〜
  美作というと
剣豪 宮本武蔵の出身地として有名

ゴルフ場も武蔵の名を誇らしげに冠している


あちらこちらに
武蔵ゆかりの地が点在していて
歴史好きや吉川英治ファンにはたまらんでしょうな
   津山市街を抜けたあたりから
いよいよ国道429号線が
もうひとつの顔
「酷道」の様相を呈してくる

このあたりではまだ
「あー、登ってるなぁ」程度だったのだが・・・
  どんどん道幅は狭くなり
標高は上がる一方・・・
  あらあら
1.5車線?

狭くないですか?

でもまあ
この程度なら四国とかだと当たり前にあるし・・・
  そしてついに
道幅は林道レベルまで縮小
これは・・・1.2車線というべきか?


さあ始まりました
恐怖の「夕暮れ峠越え」の時間ですっ!!
   それでも
対向車も少なく
路面状態もなんとか普通に走れる程度で
何事もなく一宮町までたどり着く

峠を下ると集落があり
多少道幅も広くなる
そしてまた峠に至る坂道を登り
クネクネと狭いワインディングロードを超えて
また集落に降りて行く

この繰り返しがしばらく続く
  しかし
その先には止めの一撃が待っていた

高野峠というところに差し掛かった時
「大型車通行不能」の看板が目に入った

嫌な予感・・・・

進むにつれ
これまでにない道幅の狭さと急勾配
おまけに路面も荒れてきた
木の枝や石がゴロゴロ転がっている

そしてついに
「舗装されてるだけの林道」レベルまて達した!
おいおい・・・ホントに国道か?

途中
トッポの大きさでもギリギリでしか曲がれない
カーブがありヒヤリとさせられるシーンもあった 
  地図で見ると
そんなに狭そうには見えないが
幅はほぼ普通車一台分だ

対向車をかわせる場所もあまりない

矢印の場所が
トッポでギリギリでしか曲がれないカーブ
カーブというより
「道路が絞ってある」って感じだな・・・・

とにかく
大型どころか
普通車のミニバンとかでもかなり苦しい道だ
  ようやくメチャ狭い高野峠を越えた
国道9号線との合流地点までもうすぐだ

最期の峠を下っていると

ガタン!!
車体が激しく揺れた

なんだ?工事の埋め跡か?

続いて
ガタン!!  ガタン! ガタン!! ガタン!!・・・・・
と一定間隔で衝撃が走り続ける
よく見るとスピードダンプ(速度を落とさせるための起伏)が
連続して設置されていた

スピードダンプの起伏の高さが通常のものより高いようだ

 
 
地図で見るとこのあたり

大腸のごとくのたうってますなぁ・・・・

日本のスピードダンプは
ビリビリ振動が出たりボコボコと揺れる程度が普通

走り屋のローリング走行防止のためだろうが
ここまで突き上げの衝撃を与える必要あるのか?

それとも
ここまでやらないと峠の小僧どもを追い払えなかったのか・・・・

  「ホントにこの道は国道なのか?」
「道を間違えたんじゃないか?」と
何度も疑ったが
時々現れるルート表示を見て
もはや唸るしかない・・・・

これで国道かよ!

朝来(あさご)市まで出た

このあたりは
読みにくい地名が多い

養父と書いて「やぶ」・・・とか

朝来インターチェンジの前を過ぎると
広い二車線の道がずっと続くようになった


  19:00

ジェイ・アクロス朝来SSで給油

走行距離304.5km
給油量 21.75リットル

燃費 14.0km/リットル
,燃料単価 156円/リットル

峠越えが続いたから
燃費もいきなりガタ落ちだ
エアコンもかけてたから余計に食っただろうな
バッテリーも最近短距離走行ばかりで
充電不足だったのでこれも影響しただろう
うちのクルマは電圧が下がると露骨に走らなくなるので
わかりやすい
しかし
こんだけ走ればたっぷり充電できただろう


19:05 発
 
酷道・・・いや
国道429号線は朝来市内で終わり

ここから国道312号線に乗り北上
和田山で国道9号線に合流
まったりと舞鶴を目指す

いやー
ふつーの道ってありがたいなぁ〜

遅いトラックの後でもぜんぜん苦になんないものぉ〜
  竹田城跡の看板発見

「日本のマチュピチュ」とか「天空の城」とか呼ばれる
有名な城跡だ

小高い山の上に残る城跡が
霧の海に浮かぶ姿は幻想的だろうなぁ

   さて
いよいよ舞鶴市内に入った

初日のリエゾン(移動区間)なのに
ここまで苦労して来る必要あったのか・・・?

まあ
少なくとも退屈はしなかった

それに
明日は一日中船の上なのだから
ゴロゴロ寝てればいいし

  舞鶴市内をグリグリと右左折を繰り返しながら
ようやく見覚えのある場所にたどり着いた
  20:42 舞鶴港
フェリーターミナル 着

やっと着きました〜 
  ・・・と
乗船手続きでトラブル発生!

フェリーの出港時間が0時5分であることを忘れて
予約を前日・・・つまり9日の便で取ってしまっていた!
つまり
0時5分発だから
10日の便で予約しなければ今夜の便に乗れないということだ

まずい・・・
なんという痛恨のミス

しかし
そこは柔軟な新日本海フェリーさん
こういうことはよく起こることらしく
予約を今夜の便に繰り上げてくれた

というわけで
今夜旅立てます!

   安心したら腹が減ってきた
そういえば昼も食ってなかったな・・・

ターミナルのレストランで遅い夕食

トンカツ定食 750円

おいしかったよ
   トッポを乗船待機場所に移して
車内で一息入れる

いつもはここへ帰ってくるだけだが
ここが出発点になると同じ船旅でも新鮮味があるというものだ

日中に北海道に近づくので
良い景色も見られるんじゃないかな
  ぼんやりと積み下ろしを見ていたら
自衛隊の車輌が列を成して下船してきた

どこの部隊だろう?

北海道で演習でもあったのかな?
   今回の船は「はまなす」
これで「あかしあ」と「はまなす」2回ずつ乗船ということになる

何度乗っても「良い船だなぁ」と思う
   11:20頃
バイクの積み込みが始まる

わたしがバイクに乗っていた頃は
「みつばち族」などと呼ばれ
北海道にツーリングに行くのは一種のステータスだった

最近
バイク人口が全盛期の3分の1になったというが
それでも北海道ツーリングはライダーの憧れであることに
変りはないようだ
   11:30 積み込み開始

乗るぞー!!

そして一杯飲って寝るんだー!!

もう
疲れちゃってます・・・
  自動車は船の中に頭から入って
中でぐるっと90度旋回して
頭を入り口に向けて駐車する

船の中央に歩行者の通路があるので一時停止
   駐車完了

じゃあ
明日の夜まで
おやすみトッポちゃん
   ひさしぶりに乗るのに
なんだかなつかしい気がする

さっそく
なつかしの「はまなす」船内のチェックといきますか

  中央の階段も
あいかわらずピッカピカだ
  サイドデッキもそのまんま
椅子と照明がちょっと変ったかな?
  オープンデッキも
変りはない・・・

いや
あんまり変って欲しくない

ここは唯一
航行中に外に出られる場所

今回も長い時間をここで過ごすことになるだろう
  0時5分
定刻どおり舞鶴港を出港

「いよいよ旅が始まったなぁ・・・」と
ここで初めて実感する

・・・ここまではあくまでリエゾンだし
  サッポロクラシックと枝豆で一杯

このビール
広島では北海道物産展でもない限り
気軽に買うことが出来ない


一番手軽に感じられる
「北海道の香り」だ
   今回
大きく変った点がひとつ

それは船室だ

かつての2等船室が廃止され
「ツーリストA」というランクになった


板の間のザコ寝部屋ではなく
各自にベッドが与えられる

前に乗った時にS寝台というクラスがあったが
そこはテレビ付きになったようだ
ベッドの足元には荷物を置く棚があり
貴重品などを身近において置ける

壁には小さなフックがついていて
カメラなどを引っ掛けておくのに便利だ
  照明も十分に明るい
これならば貴重品だけ身につけて
他の荷物はこの中に置いておけるので
船内での行動がかなり自由になる

いままでは
2等船室の乗客はなにをするにも荷物を持って
歩かなければならなかった

新日本海フェリーさんの大胆な改革に拍手!
  わたしの寝床は
A6号室 104

ツーリストA 28900円(軽自動車一台含む)

今夜はぐっすりと眠れそうだ

 
2:00頃 就寝