六日目 伊良湖岬から大混雑の伊勢神宮へ そして帰還
2013.09.14
 
 
   夜が白々と明けてきた・・・・

結局ほぼ徹夜になってしまった

疲れ過ぎてナチュラルハイぎみだったし
風呂に入っていないので体がゴワゴワして
とても眠れる状態ではなかった
   闇を切り裂く灯台の強力なビームも
だんだん薄らいで行く・・・・
  こうなったら早い時間に御前崎観光を済ませて
途中仮眠を取りながら前進することにしよう

残る目的地は
愛知県伊良湖岬と伊勢神宮だけだ
後は高速道路で帰るだけ・・・

日程としてはゆるいのだからなんとかなりそうだ

さっそく散策開始
  ・・・ ああ

灯台の下に広い駐車スペースがあったんだな

狭苦しい灯台傍の駐車場より
こっちほうが寝られたかも・・・・
   御前崎湊の碑

「海の東海道」を行き来する菱垣廻船にとって
季節風に対しても静穏な御前崎港は
いざというときの「頼れる湊(みなと)」だった

この記念碑は
東海道の歴史の一部としての御前崎港の価値を認め
「東海道歴史のふるさとづくり」の一環として建てられた
  遠州灘は昔から航海の難所で
ここの沖にある岩礁に座礁する船が耐えなかったという
そのため1635年(寛永12年)にはすでに
見尾火灯明台(みおびとうみょうだい)という
灯台の前身ともいえる施設が建てられていた

1871年(明治4年)4月8日に旧幕府の建造した軍艦が
この沖の「セイゴ根」という岩礁で座礁したため
本格的な様式の灯台の建設が急がれた

完成当初は第一等フレネル式レンズを装備していたが
太平洋戦争で艦載機の攻撃と艦砲射撃により
灯台は破壊されレンズも破損
再建した際に第三等フレネル式レンズに換装されている
  静岡県最南端の碑 

多くの人は静岡県最南端は伊豆半島の石廊崎だと
思っている

わたしもそのひとりだった


御前崎のほうが地理的には最南端にあたるそうだ
   朝焼けだ

棚引く雲を薄いオレンジ色に染め上げる
   静岡県最南端で迎える朝

これで徹夜明けでなければ最高だったのだが・・・
   駐車場では
早くもマリンスポーツ組が動き出している
シーカヤックかな?
   御前埼灯台
塔高 22.47m
初点灯 1874年(明治7年)5月1日
光達距離 19.5海里(36km)
;レンガ造
レンズ 第三等大型フレネル式

ちなみに
設置場所は御前「崎」だが
灯台名は御前「埼」灯台だそうだ


日本の灯台50選」に選ばれている他
歴史文化財的価値が高いことから
Aランクの保存灯台に指定されている

塔高は22.47mだが高台に設置されているので
灯火標高は54mもある
   トッポの待つ駐車場に戻って日の出の方向を見ると

おおっ
これは縁起が良い!!

朝日の前に雲がそそり立ち人型を作る
現地ではこれを「観音立ち」と呼ぶそうだ

思わず神妙に手を合わせてしまった
   心身ともにズタボロだけど
なにとかなりそうな気がしてきた

なにごとも気の持ちようだ

5:40 発
   次の目的地は
愛知県の伊良湖岬

まるで三河湾の防波堤のように海に突き出た
渥美半島の先端にある

御前崎からの距離は139kmほどで
この旅の行程としては最短距離だ


国道150号線を西へと向かう

針路が西へ向くと
旅の終わりが近い・・・
   浜松市が近いので
大きなスズキのマークのトラックも走ってる

早朝から大きなパネルトラックがたくさん走り回ってるのは
自動車関連の会社が昼夜稼動している証拠だ
  とても古い造りの鉄橋を渡る 
   このあたりには
ドーバー海峡の白亜の壁に似た
海岸線の断崖が続くところがある

車窓から一瞬見えたが
すぐにその断崖の上を行く道に乗ってしまった

乗ってしまったら見えないよねぇ・・・
  浜松市で国道1号線に合流

浜名大橋を渡る
   新居浜温泉の前あたりだろうか

遠州灘の波が打ち寄せる広い砂浜が続く
  愛知県に入った

ほんの短い間住んでいたことのある愛知県
濃厚な食文化の土地柄だったが
一番印象に残ったのは
小倉トーストでも味噌煮込みでもなく
蒲郡水族館前の小さな食堂で食べた
表面がまっ黒になるほど煮込まれた
おでんのゆで玉子だった・・・・

  潮見坂付近で国道1号線から
国道42号線に乗り換える

渥美半島に入った

風景は次第に
郊外から半島部独特の雰囲気に変っていく
   ・・・一瞬
意識が落ちかけた

いかん!
ここらが最初の限界点らしい

作戦通り
仮眠を取るために道の駅に飛び込む

7:55 道の駅あかばね 着

今日は無理はしませんよ・・・
暑いのでエアコンを回したまま
意識を落としてしばし仮眠

8:20 発

   ここはかなり南国の雰囲気がある

ソテツが植えられているからではない

明らかにマリンリゾートの気配だ
  先端が近くなり
標高が一気に上がり始める

なかなかの絶景だ
  風景はまるで鹿児島の佐多岬のようになってきた
  8:33
伊良湖岬灯台駐車場 着 


クルマを降りるとそのジリジリとした暑さにたじろぐ
  日差しが肌を刺す

暑いなぁ〜
寝不足のボケた頭にはキツい
北海道からずっと南下してきたんだから
段階的に暑くなってここがピークってわけだ

道は若干上り坂になっている
  灯台はあの丘の上にあるのかなぁ・・・
結構な高さだぞ

あそこまで登るのたいへんそう・・・ 
 ・・・と
思ったら

伊良湖岬灯台の看板は海岸のほうを指している
   なんだ
登らなくてよかったのか

最初から浜に降りて行けばよかったな・・・
   海岸線に続く整備された歩道

海風も生ぬるく
日差しを避ける影もない
   ・・・ん?

あのチラっと見えているものは・・・
   家政婦は見た・・・
   伊良湖岬灯台に到着
歩道の脇にちょこんと建っている

ずいぶんかわいい灯台だな
   伊良湖岬灯台

塔高 14.8m
初点灯 1929年(昭和4年)11月20日
光達距離 12.5海里(23km)
コンクリート造
第四等フレネル式レンズ

灯台としては中型クラスに分類される

ここも「日本の灯台50選」に選ばれている
   
   伊良湖水道は海上交通の要衝

この付近は三河湾国定公園に指定されている
  伊良湖岬灯台の後ろの丘に建っている
海上保安庁 伊勢湾海上交通センター

伊良湖水道航路の船舶航行の安全のために
海上交通情報の提供と航行管制を行っている


電波管制のほか
塔のガラス面に電球で大きな矢印を描き
交通整理の一助となる
 
  しばらくぼんやりと海風に吹かれてから
 けだるい暑さの中
駐車場に続く道を戻る
   丘の上には大きなホテル

この砂浜も夏は賑わうんだろうな・・・
   海水浴客やサーファーはいないけど
釣り人たちが颯爽と竿を振っている

のんびりとした風景だが・・・暑い
  日本海側ほどギザギザしてはいないが
穴の開いた奇岩なんかもあって退屈しない
   逆巻く太平洋の波

波は7度に1度大きなものが来るという

ぼーっと波の数を数えてみる

・・・・眠くなってきた

アルファ波出まくりでリラックスし過ぎ・・・・
  砂の坂道を踏みしめて駐車場へと戻る 
   またも同じセリフになるが
ここもまた思いがけず良い所だった

「思いがけず」というのがポイントで
来る前にいろいろ想像を巡らせる
その上を行く美しさや驚きに出会えたということだ

つまり
「当たり」ってことだ

8:52 発
  最期の目的地 伊勢神宮に行くために
都市部の名古屋市を回避して
一気に三重県に入れる
伊勢湾フェリーに乗る

8:55 
鳥羽行き伊勢湾フェリー のりば 着
道の駅に隣接する開けた場所にある
   さっそくチケットを買いに行く

そこで初めて台風が接近していることを知る
フロントの係員が往復券を買う人たちに
帰ってくる時期を聞いて
「もしかしたら乗れないかもしれません」と告げていた

そんなに接近しているのか?
  チケットを買いトッポに戻る

片道5500円 

高いか安いか・・・・

稼げる距離を思えば料金的にはこんなものだろう

船が着くまでちょっとでも寝られるかな・・・

  ふと目線を上げると
もう船が桟橋に着こうとしているところだった 



・・・またかい!!
  それにしても

ますます暑くなってきた
窓を開けて外の気温を測ってみる

32.2℃・・・・

まだまだ数値は上昇していったが
乗船が始まったので途中で計測を中止

まだ9月だもの
これが普通だよね・・・
   9:10 乗船

この旅4度目にして最後のフェリー乗船
   車輌甲板はたちまち満車
連休初日だから紀伊半島方面に遊びに行く人が
多いのかな?

これが全部伊勢神宮に来たらイヤだな・・・

   客室は人で溢れかえっていた
みんな楽しそうにはしゃいで騒がしい

そんな皆さんをよそに
わたしはなんとかここで眠りたい
  9:30 出港 

さらば渥美半島

移動テンポが早くてだんだん気構えが
追いつかなくなってきた・・・
  大きなリゾートホテルが建っている
やはり伊良湖岬は近畿・東海地方のプレイゾーンのようだ

東京に対する伊豆
大阪に対する南紀白浜というところか?
  ・・・眠る努力はしたが
こうも騒がしいと眠れるわけがない

周りの皆さんだって
灯台の前で徹夜したヤツが乗ってるとは思うまい

  サイドデッキに出て後方を見ると
伊良湖水道を離れ伊勢湾を横断中だった
   鳥羽市が近づく
こちらもリゾート地のようでホテルが立ち並んでいる

鳥羽水族館なども有名だ
   船は55分間で伊勢湾を横断
鳥羽港へと入港する
   接岸中にナビをセット
伊勢神宮まで16km
   10:27 下船上陸
  国道42号線で伊勢市に向かう

途中ナビが有料道路を通るルートを指示するが無視

一般道を通らないと「あれ」が見られないじゃないか
  道端の電柱にどこまでも続く赤福の看板
これだ!
これが見たかったんだ!!

あーかふくっ!

あーかふくっ!


あーかふくっ!

それにしてもどこまで続いてるんだ?!

   あーかふくっ!!
  こちらがその赤福

3個入り 280円

うわさほど甘くはないが中に入っている餅との
コンビネーションは食べるものの呼吸を妨げる

2〜3個食べるだけならとてもおいしいよ
ただし
お茶は絶対必要です・・・
   11:05 
伊勢神宮の近くの河原の駐車場 着

さて
それでは遷宮に沸く伊勢神宮の内宮参拝の全貌を
皆さんと供に歩いてみることにしましょう

ちなみに伊勢神宮とは
有名な内宮・外宮と
伊勢地方を中心とした125余りの神社の総称です
   駐車場の前の川は干上がっちゃってます・・・

暑苦しいですねぇ〜
   河原を歩いておかげ横丁に向かいます

途中にある立派な石垣
   んー
見事な積み方だ・・・
打ち込み接ぎってヤツか?

などと

まだこの当たりでは余裕があります
  河原から狭い階段を上がって路地を進むと・・・
 おかげ横丁です

すごい人混みですっ!!
   伊勢神宮の内宮に行くにはここを通って行くしかありません

人を掻き分けながら前進します


同じ日に
タレントのとんね○ずさんとさ○〜ずさんが
番組収録で来られていたようですが
やはりこの人混みに驚いてらっしゃいましたよ〜
  ようやく内宮の入り口である鳥居の前に着きました
普段ならここの駐車場だけで間に合うのですが
遷宮に沸くこの時期ではどうしても離れた場所への
駐車を余儀なくされます

ここから内宮にある正宮を目指しましょう

さあさあ
どんどん進んでいきましょう

鳥居の出入りの際は一礼をお忘れなく
  手水場に到着しました
人が多くてこんな状態です

作法どおり手水を取ったらさらに前進します
   次は五十鈴川で禊(みそぎ)をします

本来であればここで沐浴するのですが
参拝客さんは手を浸ける程度でOKです

五十鈴川に賽銭を投げるのはやめましょう

では
さらに進みましょう

まだまだ
正宮は遠いです
内宮は広いですからね〜
   ここは正宮ではなく社務所ですよ

正宮はもっと奥です

みなさん
このあたりからダレてきます・・・
   砂利が深いためベビーカーの車輪が埋まって
スタックしてしまいます

あきらめて
子供はだっこ またはおんぶして歩きましょう

ベビーカーは引きずって行ってください
   大きな木々は神聖な場所の中にいることを
教えてくれます

決しておタバコなどお吸いになりませんように・・・
   ようやく正宮の入り口に来ました
真新しいヒノキの香りがしますねぇ〜
  鳥居や階段は真ん中を歩いてはいけません
真ん中は神様の通り道ですよ

まあ
ここまで来る頃には
みなさんお疲れのようですので
「知ったこっちゃねーっ!」って感じでしょうか

正面の真新しいお宮が
今回遷宮のために建てられた正宮です
階段に作られている屋根は遷宮の行事用に
特別に建てられたものです

この新しいお宮の前を右に曲がって行きます
  こちらが古いほうの正宮の正面です
20年経つとこんな感じになるんですね〜


中は撮影禁止になっています

正面の屋根の下でお祈りをしましょう
ちなみにここでは個人的なお願いは出来ません
個人的なお願い事は別宮(荒祭宮)で行いましょう

神様にお礼を申し上げるのをお忘れなく・・・・
  お参りが済んだらすみやかに退場してください
後からまだ何十万人も来ますから・・・
  正宮は外からは全く中を見ることは出来ません
ご神域ですからね

屋根だけは見えますよ〜
   開口部にもしっかりとスクリーンが張られています

見せませんよ〜

ちなみに
今回の式年遷宮の総費用は約550億円だそうです
   お帰りは別ルートになっております

このあたりになると
お子様がダダをこねて座り込んでしまいます

まだまだ
歩きますよ〜
   
  先ほどの社務所の裏に出ました

お札やお守りをご購入の方はこちらでどうぞ

ただし
ここでも並んでいただくことになります
   さあさあ

まだ歩きますよ〜

だんだんイヤになってきたでしょう?

書いてるわたしもそろそろうんざりしてきましたよ〜
   やっとおかげ横丁に戻ってきました
さあさあ
人混みを掻き分けてお土産を買ってくださいねぇ〜
せめて赤福くらいは買って帰りましょうよ
ああ
お食事もできますよ〜
伊勢うどんなんかいかがでしょう

ただし
並んでいただくことになります
  ファミリーマートも
町並に合わせてこんな外観になってますよ〜
   さあさあ
お買い物はお済みですか〜

それじゃ
駐車場まで帰りましょうね〜


掻き分けてくださいよぉ〜
人混みを〜
  河原まで戻ってきましたよ〜
ここらあたりになると
みなさん精根尽き果てています 
  こちらの風情のある建物はとうふ料理屋さんだそうです

うなぎとかも食べられますよ〜

少々値は張りますがね・・・・
   はいっ!
帰って参りました

参拝して赤福買って1時間15分というところです

お疲れ様でした〜


おやおや〜?

寝不足ですかぁ〜?


12:20 発
  なんというか・・・
人混みを見に来たようなものだったな・・・

今の時期
連休初日に来るとこうなることは明白だったのに

なんで来た?

人混みが人一倍嫌いなくせに・・・


これはもう一度
人のいない時期に来てじっくりとお参りし直すべきだな
  さあ
帰ろう!!

高速道路に乗る前に給油

12:30
山五商事SSで給油

走行距離 365.5km
給油量 19.6リットル
燃費 18.64km/リットル
燃料単価 168円 


さすが観光地
ガソリン高っ!!


12:35 発
   12:40
伊勢自動車道に乗る

後は無理をせず高速道路で広島に帰還する 
   名神に出るまで結構な距離がある
燃料節約のためゆっくり走っていると
また眠気が襲ってきた

なにか食って気を紛らわせるか
  13:06
嬉野パーキングエリア 着 
   おかげ横丁で食いそびれた伊勢うどんを
ここで食う

 350円


讃岐のぶっかけうどんの
もっと麺を太くしたような感じ
ビジュアルインパクトは相当なものだが
意外と食べやすい

13:20 発
   亀山ジャンクションで新名神高速道路に乗る

新しい高速道路
これに乗るのは初めてだ
   ゴルフボール避けのネットが張られている

九州の高速道路にもあったな・・・・
  新名神は三車線
とても広くて良いのだが
スピードアベレージが少々高すぎる

一番左の走行車線でも100〜110km/h
一番右の追い越し車線になると
120〜150km/h以上で流れている

軽自動車にはつらい

出せない速度ではないが
燃料をハイペースで消費してしまう
   ようやく名神高速道路に出る
ひと安心だ

案の定

燃料計の針が下を向いてしまった
  名神高速道路に入るといつもの流れに戻る

ここまで来ると「帰ってきたな」という実感が湧く
  突然
叩きつけるような雨が降ってくる

今回は天気に恵まれた
ここからは仕方ないな・・・


思っていたら
あっさりと晴れた

今のは・・・・洗車タイム?
  18:10

吉備サービスエリアで給油
走行距離 353.1km
給油量 24.45リットル
燃費 14.44km/リットル
燃料単価 164円

ほらー
新名神のおかげで燃費ガタ落ち・・・
ゆっくり走ればいいのだが
交通には「流れ」ってものがある
それに乗れないようでは情けないではないか・・・


18:15 発
  倉敷ジャンクションまで戻ってきた

こうしてみると
中国地方の夕陽もきれいなものだ


宿命の旅を終え
意気揚々と帰還する

もはや眠気はどこかへ飛んでいってしまった


この旅が終わったら
しばらくはトッポちゃんとの長距離旅行はしないだろう
しかし
トッポを手放すわけではない
完全に動かなくなるその日まで乗り続けるだろう

トッポはクルマにとって一番大事なものをわたしに与えてくれた
それは「信頼」だ
こいつとならどこへでも行ける・・・
  19:52 西条インターチェンジ 着

帰ってきた・・・

自宅まであと少し

がんばれトッポ!
   20:00 自宅駐車場 着

足掛け四年に渡る
長い長い旅が終わった・・・
   ・・・最後に
まだ暖かいトッポちゃんのボンネットに
手を添えてつぶやく





「・・・・ありがとう」





おわり
   
総走行距離 2719.9km  使用燃料168.67リットル(レギュラー)  平均燃費16.12km/リットル