第三日目 2010年5月17日 
「クマに怯え・馬に追われ・強風に晒された日」
 
姉吉キャンプ場→本州最東端 とどヶ崎→尻屋崎(青森県)
→本州最北端 大間崎→道の駅 よこはま 
2010年5月17日

4時45分 起床

今日の車窓

道路が近いわりにはよく眠れた
少し肌寒いが
天気は良くなりそうだ

5時26分 発
今日は朝から山歩きだ

一応
そういうところを歩けるような
靴を持ってきたが
どの程度の山道なのか
事前に情報が取れなかった

・・・まあ
遊歩道ってくらいだから
そんなにキツくはないと思うが・・
漁師町をいくつも通過していく
朝日が眩しい・・・

道はだんだん狭くなっていく
後半は1.5車線のワインディングロード

尾根道を上がったり下がったりの
連続だ

森は鬱蒼としていて
薄暗いところもある・・・
おっ!
これは・・・・

妖怪ポスト?

高床式犬小屋か?


・・・どうやら
凍結防止剤と滑り止めの砂を
入れるものらしい

同じものが何箇所も
設置されていたので
このカタチがこのあたりの
スタンダードのようだ

6時10分
姉吉キャンプ場 着

トッポちゃんで最東端に
行けないのは残念だけど
姉吉は本州で一番東にある
キャンプ場だから
ぎりぎり最東端まで近づいた
というこで良しとしよう

・・・では
遊歩道を歩いて
本州最東端 とどヶ崎へ行こう

静かな入り江の小さな漁港に
向かう・・・
港の作業場では
昆布が水揚げされていた
ずっと海岸線に沿った歩道を
歩くのかと思っていたが・・・

予想外の場所に
入り口を発見


看板の通り
とどヶ崎の「とど」は
魚辺に「毛」と書く
一般的なパソコンの
漢字出力コードで表示できない文字なので
「とど」とひらがなで表記している

また
宮古市では国土地理院に従って
「とどヶ崎」と地名表記しているが
灯台を管理している海上保安庁では
「とどヶ埼」と表記するそうだ
いきなりとてもキツい坂道・・・

しかも入り口に立てられた
看板の情報によると
このあたり

熊が出るらしいのだ

最近新しいフンが道の上で
見つかったので
入山の際は熊避けの鈴か
ラジオを鳴らしながら歩け・・・
とある


ヤバい!
なんにも持ってきてないよ・・・
太平洋の濃い潮のにおいが
時折香ってくる

松の間から見える
入り江の風景
いつくも沢を越えていく

道はアップダウンが激しく
時々ガレ場もある

かなり歩いたつもりでも
まだ1kmしか進んでいない
熊避けのために
歩きながら時々手拍子を打つ


なにもそんなに
ビクビクすることはないと
思うだろうが
わたしは
実際何度か山の中で
熊に出遭った経験があるので
リアルに怖いw
歩いても 歩いても
続く道・・・・
これはちょっとしたトレッキングだ

杖 兼 対熊防衛用に
道端に落ちていた棒を拾う
・・・が
朽木なので杖にしていると
下からボキボキ折れて
最後にはカラオケマイクの
サイズになったりする・・・
(それでもしばらく握り締めている)

我に返り
棒を投げ捨て叫ぶ

武器を!
武器をくれーっ!!
・・・もっとも
熊と取っ組み合いなんて
できるはずもない
いつもはじっと目をそらさずに
食べ物をそっと置いて
ゆっくりとバックして逃げるのだが
今回は置いて逃げるエサすら
持ってきてないのだ・・・

熊さえ出なけりゃ
さわやかな空気に
野鳥のさえずり
緑の匂い
沢の小川の水の音・・・・

癒しの空間なんだがなぁ〜

おおっ!
ようやく看板が現れたぞ!


灯台へ行く道と
と最東端の碑への道の
分岐のようだ

まずは
最東端の碑から
行ってみよう
鬱蒼とした森の向こうに
太平洋の水平線が
見えてきた


助かったっ!

・・・じゃない

たどり着いた!!
えーと・・・

どれが最東端の碑?


・・・あ

あれかな?
本州最東端の碑

ありましたー!!

自然の岩にプレートをはめ込んだ
だけのものだけど
わけのわからないデザインの
モニュメントが建ってるより
リアリティがあって
いいかもしれない
熊に怯えながら
山道を歩いてきた甲斐があった

プレートをなでながら思う・・・

向こうにそびえているのは
とどヶ埼灯台


「崎」は漢字の意味としては
「地形」を表すため
地名として住所などに使用される事が多く
一方の「埼」は「地点」を表すため
岬やそこに立つ灯台など
名前として使用される事が多いらしい

ややこしいねぇ・・・・
・・・さて

どこが実際の最東端なんだろう

眺め回していると
一番突出している岩を発見

できるだけ近づいてみる
一歩一歩足元を確保しながら
岩にしがみついて先端を目指す

よくこうして足を踏み外し
転落死する人がいるが
行動は自己責任だ

断崖絶壁を岩の先端から
覗き込む

ひょえ〜
高い 高い

波が白く砕け散っている
発見した先端部まで
あと50mというところだが
自分の背丈の倍くらいの
垂直面があったので
ここで断念する


行けるギリギリまで来たから満足
眺めは最高だ!

持ってきたペットボトルの紅茶で
ブレイクタイム・・・
とどヶ埼灯台は明治35年(1902年)に
建設されて以来太平洋の海の安全を
担ってきた
太平洋戦争のとき一度焼失したが
1950年(昭和25年)に再建された

1990年(平成8年)に完全自動化に
なったが 
それまで職員が家族と共に生活して
いた
その生活ぶりを書きとめた
灯台長夫人の手記が
映画監督 木下恵介の目に留まり 
あの名作「喜びも悲しみも幾年月」が
誕生する・・・・・
灯台のそばに
小さな展望台がある

そこには思い出ノートが
設置されていて
ここにたどり着いた多くの旅人の声が
残されている

バイクで日本一周中のライダーも
コメントを残していた
ライディングシューズやブーツで
あの道を歩いてくるのは辛そうだ

どのコメントも
「本州最東端」に到達したことへの
喜びと誇りを感じさせる

しばらく
じっと太平洋の水平線を眺める

「自分は今本州の東の端にいる」

ここに存在していることを楽しむ

それが旅だ・・・・・
・・・・堪能したところで
また現実と闘わなければならない


元来た山道を引き返す

早足で歩きながら
熊対策グッズのアイデアを考える


いろいろ考えたが
電飾がビカビカについた大きな
孔雀の尾羽根のようなものを
背負って
歩けばいいのでは
ないか・・・

・・・という
ばかばかしい結論に達した


熊どころか人間も逃げるわ!
やっと入り江に帰ってきた〜

8時22分
姉吉キャンプ場 帰着
ちょっと疲れた・・・・・
ナビを次の目的地
本州最北端 大間崎にセットする
340kmか・・・近いな

・・・・距離感覚が完全にマヒしている
そりゃまー
昨日の1000kmに比べれば
近いといえば近いが・・・・

オプションとして
時間に余裕があれば
尻屋崎にも行ってみるつもりだ

8時28分 発
岩手の田舎道は
ずっとこんな感じの風景だ

川がたくさんあるんだよね

それも
コンクリートで固められた
ドブ川ではなく
自然のままのきれいな川

大人でも川遊びをしてみたくなる
10時01分

道の駅 いわいずみ 着

休憩&飲み物補給

道の駅の近くに球場があり
楽天イーグルスの横断幕が
掲げられていた

10時10分 発
桜咲く街道を行く
道を隔てて
樹木の装いが違う


春前線の境界かな?
途中 ローソンに寄る

11時00分
ホームセンターかんぶん
車中泊に必要なものをいくつか購入

11時17分 発
途中小さな町を通りかかると
市が立っていた

お年寄りで賑わっている
青森県に入る

太平洋沿いから青森に入るのは
初めてだ
八戸方面を目指す
東北というより
なんだか北海道みたいな風景だな
恐山の案内標識が現れた

霊山として名高い恐山
たしか温泉地でもあるはず

そういえば
出発以来ずっと風呂に入っていない


そう思い出すと
なんだかあちこちかゆくなってきた・・・


温泉入りてぇよ〜
六ヶ所村を通過

原子力発電所があるところだ

電柱にも原発のPRセンターの
看板がかかっている
14時06分
南通SSにて給油

走行距離 378.6km
給油量 21.68リットル
燃費 17.46km/リットル
良い燃費になった

SSレディがふたり掛かりで
フロントガラスの虫落し中

14時10分 発
大間崎は下北半島の端っこ

ここもまた
行く気にならないと来れない場所だ
なんてったって
本州で一番遠い端っこだからねぇ・・・

わざわざ行かなくても
二度も陸路で青森まで来てるんだから
その時にちょっと寄れば
よかったのに・・・

思うだろうが
「ちょっと寄れる」ほど手軽な距離では
ないのだよ〜w
時間もあるので
先に尻屋崎へ行ってみることにする

尻屋崎は下北半島の
東側の端っこだ
おお
あれは・・・灯台じゃないな

なんだろう?
鉄鉱石の採掘場のようだ
船への積み出し施設もあって
結構大規模だ
採掘場を過ぎると
灯台が見えてくる・・・
14時57分
尻屋埼灯台 着 

岬の灯台らしい
流麗な姿だ

1876年(明治9年)東北初の灯台として
建設され その後日本で始めて霧笛が
設置される
太平洋戦争末期
米軍の攻撃を受け破損したが
終戦直後の1946年(昭和21年)の夏
破壊されたはずの灯台が
光を放つという怪現象が発生
そのおかげで多くの漁船が遭難を
免れたという
1951年(昭和25年)に灯台は復旧
1976年(昭和51年)に点灯100周年を
迎えた

灯台の周辺には
馬が放牧されている
野生馬ではないそうだ

寒立馬と呼ばれ
青森県の天然記念物に
指定されている
灯台の横に
突端部があり
そこには小さなお地蔵さんが
鎮座している


わたしもお地蔵さんにあいさつして
石をひとつ積んだ・・・・
  突端部から見る津軽海峡 

かすかに北海道が見えた
  馬たちがいる草原の真ん中に
石碑が建っている
何の石碑か確かめたくて歩き始めた
すると
少し離れて寝そべっていた
ここのリーダーと思われる
巨大な白馬がいきなり起き上がり
「ブヒヒヒン ブヒヒヒン!」と
嘶きながらこちらへ走ってきた!

わたしが少しコースを逸らすと
巨大な白馬は嘶きをやめて
わたしの前を通過していった

あー
びっくりした!
  近くのお土産屋さんで
食事を摂ることにする

尻屋崎のお土産屋さんは
この一軒だけ
  つぶラーメン 700円 
昆布だしで
つぶ貝のコリコリした食感がとても良い
  店の中から馬たちを見ていると
観光客のおばちゃんの集団が
何事もなく馬に近づいている

なんでわたしだけ・・・

店のおばさんにそれを話すと
「ああ、そりゃーあんたを
立派なオスだと認めたんだよ」
とのこと
・・・・なにそれ?
つまり
現在馬たちは発情期で
わたしに雌馬を盗られると
思ったらしい
女性やひ弱な男性には
反応しないそうだ・・・・・
・・・認められたといわれても
あんまりうれしくありません

15時26分 発
  元来た道を引き返す

どうも動物の脅威に晒される日だな
今日は・・・

大間に行ったらどうなるんだ?

マグロに噛みつかれるとか・・・


   尻屋崎は放牧の関係なのか
入れる時間が決まっている

このようにゲートがあり
夜は入れないようになっている
  大間に向かう街道は
道の両サイドに桜が植えられていて
しかも何キロも続いている

ちょうど散り始めの時期で
路上の花びらがクルマの走行風で
舞い上がって
文字通りの「桜吹雪」が巻き起こる



  さあ
ナビの表示も端っこに近づいているぞ
もうすぐ本州最北端だ
  おお

どうやらここがそうらしい

16時44分
本州最北端 大間崎 着

施設がなかったら
ただの海辺のカーブにしか
見えないかも・・・
  ついに
たどり着きました

本州最北端の碑
  沖には大間崎灯台

ううう
風が・・・・
風が猛烈に強い!!

撮影しようとカメラを構えても
強風が体を揺さぶり
手ブレしまくりだ・・・・

   マグロ漁のモニュメント

一本釣りなんですねー

「よいしょっ」って感じの腕と
クリクリッとしたマグロの目が
かわいい
  石川啄木の歌碑もある
  あちらこちらにうにの殻が
落ちている

カモメやカラスが
道路に落としてクルマに轢かせて割り
中身を食べるそうだ
   天道よしみの
「みちのく慕情」の歌碑もある

目立つ色だなぁ〜

   展望スペースの床面には
日本の端っこを示した地図が
作られている
   ・・・去年行ったなぁ〜

メッチャ寒かった
  ・・・ここも去年行った

夜は大雨の中車中泊したっけ

漁師さんたち
元気かな・・・・
・・・ここは

今月行ったばかりだなw
ここは去年の4月だったかな・・・

足摺岬はバイクとかでも
何回も行ってるので
馴染み深いところだ
・・・ここは去年の暮れ
友人のレジアスエースで

四人連れで行ったなぁ〜

良い旅だった・・・

そのうちまたトッポで
行ってしまうかもしれないなw
・・・・ここは今年の1月に行ったな

スタッドレスタイヤを履いたまま
旅に出たのは初めてだった


・・・・今朝
行ってきましたw


・・・・というわけで
大間崎の地図に表示されている
端っこはすべて到達したこということで
これで一応「日本の端っこの旅」は
コンプリートということにしよう
  それにしても
風がキツい・・・・

現地のイヌも顔をしかめる強風だ

観光客が何組かやって来たが
記念写真を撮るとすぐに退散して
行った

わたしも最北端のお土産物屋さんで
到達証明書(200円)を買って
トッポに撤退・・・・

 17時08分 発
  一応今回の旅の決着はついた

せっかく青森まで来たんだ
反対側の竜飛岬も見ておこうじゃないか

そういうわけで
明日の走行距離を少しでも
短くするために
青森市内にできるだけ
近づくことにした
  この旅で初めて踏み切に引っかかる

しばらく待つと一両編成の電車が
通過していった・・・・ 
  18時37分

ローソンに寄り夕食購入

ローソンのとなりは
そば屋さんだが・・・

なまこそば
ってどんなんだ?

すごく気になるが定休日らしい・・・

18時45分 発 
   19時00分
道の駅 よこはま 着


ここは道路からも少し離れてるし
近くにコンビニもある
他の車中泊の人たちも集まってるし
安心して眠れるだろう・・・

22時ごろ就寝


明日は竜飛岬

そして海を渡って・・・

・・・あ
また風呂に入りそびれた・・・

zzzzz・・・・